認知症の親の借金問題、時効援用は可能？専門家が教える手続きと注意点

この記事では、認知症の親の借金問題に直面し、時効援用について知りたいあなたに向けて、具体的な手続き方法と注意点について解説します。法的知識だけでなく、精神的な負担を軽減するためのアドバイスも提供します。

平成20年10月に認知症の母を遠方から呼び寄せ同居を始める予定が、錯乱状態になり精神科に保護入院。その後グループホームへの入所を経て現在は老人福祉施設に入所しています。要介護2がおりています。

その母に債務の取り立て通知が届き、寝耳に水だった為、債権者に連絡をとったところ、個人情報なので本人以外とは話せないと一切教えてもらえませんでした。認知症だと伝えても同じ回答でした。法テラスにも相談しましたが、家族に支払う義務はない、どうしても払いたいなら母の預金通帳から振り込んだらとアドバイスされました。

もう一度債権者に連絡とったところ、あなたは関係ないので教えられない、こちらからの連絡はもうしませんと言われました。

私は成年後見人になっている訳でもなく借金の事実もわからないので放置することに決めた次第です。

それから4年以上が経過し突然、東京簡易裁判所から『口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状』というのが母宛に届きました。「母は認知症で出頭も不可能で答弁書も書けません」と裁判所書記官に連絡したところ、「現状を医師の診断書添付して一筆書き送った書類は全て送り返して下さい」と言われてその通りしました。無事裁判は取り下げて頂いた次第です。

そこで本題の質問です。

今後借金の時効について考えています。時効の援用という手続きを、認知症の母に代わって私が行う事ができますか？できるなら行う時期（五年経過後？前に？いつからカウントするのか）借金の内容は平成13年8月〜平成20年3月まで貸し渡され最後に返済したのが平成20年６月となってました。

裁判を取り下げられたのが平成25年2月です。

どうかアドバイスよろしくお願いいたします。補足母は引き取った際小銭しか保有しておらず預貯金もないに等しい状態でした。現在は生活保護境界層になり施設費を抑えて頂き僅かな年金で施設費＆医療費を払ってます。

引き取った際の身の回り用品、着替え等含めて全て私が準備しました。お小遣い等も負担してます。借金を返済する余裕は恥ずかしい話ですが難しい状況です。

ご相談ありがとうございます。認知症の親御さんの借金問題は、多くの人が直面する複雑な問題です。法的知識だけでなく、親御さんの介護や生活費の負担、そして精神的なストレスなど、様々な課題が絡み合っています。今回のケースでは、時効援用という法的手段を通じて、借金問題を解決できる可能性があります。以下、詳細に解説していきます。

1. 時効援用とは何か？

時効援用とは、借金の返済義務を消滅させるための手続きです。民法では、借金の種類に応じて、一定期間（通常は5年または10年）が経過すると、債権者は債務者に対して返済を請求する権利を失います。この権利を「消滅時効」といい、債務者がこの消滅時効を主張することを「時効の援用」といいます。

時効援用は、単に時間が経過しただけでは成立しません。債務者が債権者に対して、時効を主張する意思表示を行う必要があります。この意思表示をすることで、初めて借金の返済義務が消滅します。

2. 認知症の親の借金、時効援用は可能か？

はい、可能です。認知症の親御さんに代わって、あなたが時効援用を行うことができます。ただし、いくつかの条件と注意点があります。

法定代理人の有無: 認知症の親御さんに成年後見人が選任されている場合は、成年後見人が時効援用の手続きを行います。成年後見人がいない場合は、親族が手続きを行うことができます。
本人の意思確認: 認知症の親御さんの意思確認が難しい場合でも、時効援用は可能です。ただし、親御さんの状況を考慮し、弁護士などの専門家と相談しながら進めることが望ましいです。
手続きの方法: 時効援用の手続きは、内容証明郵便で債権者に時効援用の意思を通知するのが一般的です。内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を送ったかを証明するもので、法的効力があります。

3. 時効援用の時期とカウント方法

時効が成立するためには、一定期間の経過が必要です。借金の種類や契約内容によって異なりますが、一般的には以下のようになります。

個人間の借金: 最終返済日から10年経過
消費者金融やクレジットカード会社からの借金: 最終返済日から5年経過

今回のケースでは、最終返済が平成20年6月、裁判が取り下げられたのが平成25年2月です。裁判が取り下げられた場合、時効期間はリセットされる可能性があります。しかし、最終返済から5年以上経過しているため、時効援用を検討する余地は十分にあります。具体的な時効の起算点については、専門家である弁護士に相談し、正確な判断を仰ぐことをお勧めします。

4. 時効援用の手続きの流れ

時効援用の手続きは、以下のステップで進めます。

債権者の特定: まず、債権者（お金を貸した人や会社）を特定します。借金の契約書や、これまでの取り立て通知などを確認しましょう。
時効期間の確認: 借金の種類と、最終返済日を確認し、時効が成立しているかを確認します。
内容証明郵便の作成: 弁護士に依頼するか、自分で内容証明郵便を作成します。内容証明郵便には、時効援用の意思表示、借金の内容、債権者の情報などを記載します。
内容証明郵便の送付: 内容証明郵便を、債権者に送付します。配達証明も取得しておきましょう。
債権者からの回答: 債権者から、時効を認める回答が来れば、手続きは完了です。もし、債権者が時効を認めない場合は、裁判になる可能性があります。

5. 注意点とリスク

時効援用には、いくつかの注意点とリスクがあります。

専門家への相談: 時効援用の手続きは、専門的な知識が必要です。弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
債権者との交渉: 債権者との交渉が必要になる場合があります。冷静に対応し、感情的にならないように注意しましょう。
裁判のリスク: 債権者が時効を認めない場合、裁判になる可能性があります。裁判になった場合は、弁護士に依頼し、適切な対応を取りましょう。
時効の中断事由: 時効が成立する前に、債務者が借金を一部返済したり、債権者が裁判を起こしたりすると、時効が中断されることがあります。時効の中断事由がないか、事前に確認しましょう。

6. 借金問題解決のためのその他の選択肢

時効援用以外にも、借金問題を解決するための方法はいくつかあります。

債務整理: 弁護士に依頼し、債務整理を行う方法です。債務整理には、自己破産、個人再生、任意整理などがあります。
親族との相談: 親族と相談し、協力して借金問題を解決する方法です。
生活保護の検討: 生活保護を受給することで、生活費の負担を軽減することができます。

ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。

7. 精神的な負担を軽減するために

認知症の親御さんの借金問題は、精神的な負担が大きいものです。一人で抱え込まず、周囲の人に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることが大切です。

家族や親族との連携: 家族や親族と協力し、情報を共有し、一緒に問題を解決していくことが重要です。
専門家への相談: 弁護士、行政書士、社会福祉士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。
地域の支援サービスの活用: 地域の高齢者支援センターや、介護保険サービスなどを活用し、サポートを受けましょう。
休息とリフレッシュ: 悩みすぎず、適度に休息を取り、気分転換をすることも大切です。

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8. 成功事例

実際に、時効援用によって借金問題を解決した事例は多くあります。例えば、

事例1: 70代の男性Aさんは、認知症の母親の借金問題に直面しました。母親は消費者金融から借金をしており、長期間返済が滞っていました。Aさんは弁護士に相談し、時効援用の手続きを行いました。その結果、借金の返済義務が消滅し、経済的な負担が軽減されました。
事例2: 60代の女性Bさんは、認知症の父親の借金問題に悩んでいました。父親は、過去にクレジットカードで多額の買い物をし、返済が困難になっていました。Bさんは、弁護士に依頼し、時効援用の手続きを進めました。最終的に、借金の時効が成立し、問題が解決しました。

これらの事例からもわかるように、時効援用は、借金問題を解決するための有効な手段の一つです。ただし、個々の状況によって、適切な対応は異なります。専門家と相談し、最適な解決策を見つけることが重要です。

9. まとめ

認知症の親の借金問題は、複雑で困難な問題ですが、決して解決できない問題ではありません。時効援用は、借金問題を解決するための有効な手段の一つです。しかし、手続きには専門的な知識が必要であり、リスクも伴います。弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けながら、手続きを進めることが重要です。また、精神的な負担を軽減するために、周囲の人に相談したり、地域の支援サービスを活用したりすることも大切です。諦めずに、問題解決に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。

この記事が、あなたの借金問題解決の一助となれば幸いです。もし、さらに詳しい情報や、個別の相談をご希望の場合は、専門家にご相談ください。

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